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大宮ソフトのゲーム『カルドセプト』は2007年10月に発売10周年を迎えました。そのことを祝し、カルドへの「愛と感謝」を表明するためにセプター向け投稿作品発表の場を立ち上げました。
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 【投稿者】 伊豆ヒロカズさん

 【題名】 Culd 3

 【コメント】 文中、セカンドとサードのカードが入り乱れてますが、
        きちんと訳があります。
        たぶん、次に語られることかと思います。

 【内容紹介】 「テレポート」のカードで見知らぬ世界に跳んだ、
         井上悟少年。そこは異装の人々が集う、ファンタジー
         そのままの風景が広がる異世界だった。
         「おまえ、セプターだろ?」問われるまま、カードの戦いが始まる!


 (3)

 通りはお祭り騒ぎだ。そのネタは僕と、シェルフと名乗った男。

「疾風のシェルフが戦うぞー!」

「シェルフ2でサトル5だ! さあ賭けた賭けた!!」

 と、なにやら賭けも始まってるらしい。
 賭けるも何も、僕は何が始まるのかサッパリ分からないってのに。
(戦う、ってことだけは理解できたケド

 僕たちをいざなうように人ごみが分かれていく。
 その先には城壁があった。たぶん、町をぐるっと囲うほどの。
 グイとシェルフが手を引く。

「ほら、みんなに手を振ってやれよ」

 と言いつつ自分も振り、城壁へと2人で歩いていく。
 僕もオドオドと群集に手を振る。それに歓声が応え、みるみる膨らんでいく。
 …なにやってんだろ、僕。
 城壁に沿った階段を昇り、見渡す。町を囲む城壁と2つの砦。
そのうちの1つ、いま僕の立つ場所がさっきシェルフが言った『城』
なんだな、となんとなく分かる。
 力が満ちている。そして『城』から『砦』へと向かう道、帰ってくる
道があり、円を形作っている。

 そして僕たちの後から、一人の男が昇ってきた。

「えー。審判を務めさせていただくマルコだ。」

 ということらしい。
 っていうか、ホントに戦えるのか、僕?
 そんなことを思ってると、『城』の力がほとばしった。
 同時に、パキィンという音と共に『小さな本』から5枚のカードが
飛び出し、僕の腰の辺りを回り始めた。
 シェルフの回りにも彼の本から飛び出したカードが回っている。

「用意は良いかね?」

 良くない。

「それでは始めッ!」

 同時に。

「ヘイスト!」

 シェルフが叫ぶと彼のカードが割れ、力がシェルフを包み、すごい
速さで走り出した。
 そして僕の『小さな本』から1枚のカードが飛び出す。

「……えーと」

 戸惑っていると、僕の周りを回るカードの1枚が光った。

『私を使って』

 僕がそのカードに手をかざすと、キィンという音を立ててカードが割れ、
一人の小さな妖精が現われた。

「初めまして、マスター。フェアリー4姉妹の3女、マイです。」

 妖精が、ぺこりとお辞儀をする。

「え、あ、初めまして。」

「マスター、事情は解かっております。何もかも初めてだということを。」

 コクコクとうなずく僕。

「マスターが最初に使った『フェアリーライト』のカードは、この小さな

 マップでは効果はあまり望めませんが、今回はマスターへの助言を
 務めさせていただきます。よろしいですか?」

「あ、はい。」

 願ったり叶ったり。

「とりあえず、あの『砦』に向かって走りましょう。」

「持久走は苦手なんだけれど……」

「自分のペースで大丈夫ですよ。スタミナは随時補給されるので、
 走っても疲れません。」

「ふうん。」

 言いながらシェルフの後を追って僕は走り出した。シェルフの速さには
追いつかないんだけれども。フェアリーのマイもついてくる。


「えーと。」

 僕は、なにやら『区切り』を感じて立ち止まる。

「感じますか?」

 マイが聞いてくる。

「なんだろ、この感じ。」

「ここにマスターは『クリーチャー』を呼ぶことができます。そして、
 ここの属性は『火』です。」

 ああ、なんとなく『火』と言われればそんな感じ。ここら辺一帯が『火』と
いうのを感じ取ることができる。

『僕を使うにゃあ!』

 またカードが自己主張をしてくる。猫の絵が描いてあるカードだ。手をかざすと、
やはりというか何と言うか、猫が現われた。

「ケットシーのタマだにゃ。マスター、以後よろしくだにゃ!」

 と、ペコリとお辞儀。僕もお辞儀。

「ケットシーの属性は『火』。ここの属性と同じということは、ここを守る
 上でとても大事なことです。」

「地形効果を得られるにゃあ。」

「要は耐久力が上がります。この効果は実際に戦闘をして体験してみたほうが
 早いでしょう。さあ、次に行きましょう。」

「マスター、がんばるにゃあ!」

 タマに送り出されると、向こうの方で「フライ!」というシェルフの声。
 そして、ものすごいスピードで駆けていくのが見える。

「えーと……」

 僕がマイに困った顔を向けると、彼女はにっこり微笑んだ。

「スピード勝負ではありませんから、大丈夫です。確実に行きましょう。」
 励まされ、僕はうなずく。と、彼女から力が僕に流れ込んでくる。

「少しですが、これが勝敗を分けることもあります。マスター、がんばってください。」

 力強く、僕はうなずく。
 カードが1枚飛び出し、輪に加わる。
 次に僕が『区切り』を感じたのは、タマからそんなに離れていないところだ。
ここも『火』。

「さあ、クリーチャーを選んでください。」

 マイが言う。えっと……1枚、グニャグニャした絵が描かれてるのが
 あるんだけど……あれ?

「隠れてないで。」

 マイが言う。見ると腰の後ろのほうにもう1枚、人間のようなモンスターが
描かれてるのがあった。これは『火』の属性に感じる。

「にゃー! マスター、そこで使っちゃ駄目にゃー!」

 向こうの方でタマの叫びが聞こえる。

「マスター、ベストはそのカードです。タマに惑わされないでください。」

「にゃー! にゃー!!」

 僕はマイに薦められたカードに手をかざす。キィンという音と共に、
大きい鬼のような人が現われた。

「レッドオーガ3兄弟の長男・グーラ、義によって参上。」

「お呼びじゃないにゃー!」

「ケットシーの隣とは不服なり、マスター。」

 じっとり目のグーラと向こうで騒ぐタマを見ながら、

「呼び出すカードに相性があるんだね?」

 と聞くと、マイはフルフルと首を振った。

「マスター、普通はありません。」

 そうなんだ。難しい。

「さ。次に行きましょう。」

 いささか冷たくマイが言う。
 すぐにでもタマとグーラの喧嘩が起こりそうだけれども「それはありません。」
とマイが言うので先に進むことにした。

 カードが1枚、『小さな本』から引かれる。

「ここら辺は『水』属性ですね。」

 と、マイが解説してくれる。『水』の属性を過ぎると『砦』だった。力が
少し漲ってくる。

「『砦』に止まるとタマやグーラに『魔力』を託すことができるのですが……、
 『区切り』は感じませんか?」

「うん。」

「では先に行きましょう。」

 っていうか、先には何か竜巻があるんですが。

「あれはシェルフさんが呼んだクリーチャー『ハリケーン』です。属性は『風』で、
 土地とも合ってます。あそこにマスターが『区切り』を感じると、あそこに
 魔力を取られます。」

「無ければ通っていいの?」

「はい。行きましょう。」

 幸い『区切り』を感じることは無く、『ハリケーン』の横を通ることができた。
 『風』の土地で僕たちは止まる。

「マスターのブック……その『本』は『火』属性で構成されています。ですから
 『火』の土地を重点的に獲得し、守るべきですが、シェルフさんは『風』属性を
 持っているようです。ここにマスターが戦略的な嫌がらせでクリーチャーを
 配することもできます。」

 『戦略的嫌がらせ』って何だ、それ。単に嫌がらせじゃないのか。と思いつつ。

「じゃあ、これ?」

 グニャグニャした絵。

「はい。」

 にっこりとマイが微笑んだ。手をかざすと、デロンとしたものが現われた。

「『バルダンダース』です。嫌がらせには最適です♪」

 音符マークが付いたよ。マイって腹黒?
 そんなことを思っていると、後ろから声。

「なんだよサトルー、まだそんなとこに居るの?」

 シェルフだ。

「マスターは周回稼ぎブックじゃありませんから。どうぞお先に?」

 と、マイ。

「じゃ、先に失礼するぜー!」

 足早にシェルフが僕たちを追い抜いていく。

「マスター、焦らずに。勝ち目は、私たちのマスターのブックの中にあります。」

「うん。」

 と、そのとき。向こうのほうでタマが叫んだ。

「シェルフが来たにゃー! 向こうは『ハーピー』にゃー!」

「!」

 シェルフのカードが一瞬、頭の中を過ぎった。

「スクロールはありましたか?」

 マイが聞いてくる。

「剣が1……鎧が1……だったかな。あとはクリーチャーと魔法だったと思う。」

「では『バックラー』で充分でしょう。盾の絵です。スケイルメイルは
 温存したほうがいいです。」

「うん。えっと……」

 盾の絵が描かれたカードに手をかざすと、パシュッという音と共にタマの
方に飛んでいき、タマに盾が装備された。
 そして『ハーピー』と呼ばれたクリーチャーがタマに攻撃するが、盾に弾かれ、
タマの攻撃が『ハーピー』を切り裂いて消滅させた。

「ちぇっ。」

 というシェルフの声。

「死んだの?」

 という僕の問いに、マイは首を振った。

「カードに戻っただけです。死にません、大丈夫。」

 僕はほっとした。タマやグーラが死んだら後味が悪いな、と思ったから。
 そして僕が駆け出すと、またカードが1枚。妖精の絵。『フェアリーライト』
って言ったかな。
 僕たちは走り、緑の感じがする土地(後で『地』と分かったけれど)を抜けて、
ようやく最初の『城』へ戻ってきた。
 大きな力が沸いてくるのを感じる。
 なんか1周だけなのに色々あったな。

「私の役目はここまでです。よろしければ、私の姉妹たちを使ってやってください。」

 とお辞儀して、マイはカードに戻って『小さな本』に帰っていった。

 続けて駆けて行くと、当然のことながらタマとグーラの横を通ることになる。

「僕に魔力をくれにゃー!」

「いや、我こそマスターの信頼を預かるに相応しい!」

 タマとグーラが自己主張してくる。
 えっと……1回に1箇所しかできなさそう。

「まずはタマね。次、グーラに預けるから待ってて!」

「にゃ~!!」

 タマに意識を向けると、力が注がれていくのが分かる。

「マスター、預けすぎに注意してくだされ。」

 グーラの忠告で、ちょっとやめる。タマは不服そうだが。
 ふたたびカードが現われる。
 さて。えっと……まずは『フェアリーライト』。

「ハイのー! フェアリー4姉妹の末、ライですのー!」

 と、陽気な妖精が出てきた。
 性格も喋りも違うんだ……。

「ライって言っても嘘はつきませんのー! 信頼してくれていいのー!」

 いや、僕は君たちを信じるしかない訳で。

「シェルフさんが向こうで『風』の連鎖を組みましたのー! 
 ちょっと危ないですのー!」

「連鎖?」

「マスターも『火』の連鎖を持ってるですのー! 同じエリアで同じ
 属性の土地を持つのを連鎖っていうですのー!」

「ふうん。連鎖をすると危ない?」

「通行料も魔力も増えるですのー! マスターも負けてられないですのー!」

「うん。」

 僕はライという新たな同伴者を得て走り出した。

「連鎖を崩すには土地属性変更のスペルを使うか、連鎖を組むクリーチャーを
 倒すかですのー!」

「ふむ。」

 砦を抜けてカードが1枚。

「そのカード、『マジックボルト』をあそこの『パウダーイーター』に放つ
 ですのー! あれは増えると厄介ですのー!」

 言われるままに『マジックボルト』を使うと、先のほうで小さな綿毛が消し飛んだ。
 なんか申し訳ない気持ちでいっぱいなんですが。

「勝つためには手段は選びませんのー!」

 フェアリーって腹黒ですか?
 僕たちが『城』に着こうとする頃、また後ろからシェルフがやってきた。
 っていうか、ぐるぐる回るからそうなる訳で。

「俺は3周目だぜー? 大丈夫かー?」

 意気揚々と。

「速ければいいってもんじゃ無いですのー! マスターはマスターで、
 考えがあるですのー!!」

 いや、無いんだが。

「速いといいぜー? 『城』で魔力がたんまりもらえるからなー!」

「さっさと行くですのー!」

「ほいほい。じゃ、行くぜー?」

 僕が手を振って見送ると、ライが髪の毛を引っ張った。

「マスターも負けてられませんの!」

「そ……そうだね。」

 僕たちはまた走り出した。先を行くシェルフが城で止まり、僕の後ろで
力が爆発した。

「!?」

 見ると、『ハリケーン』が大きな力に包まれている。

「あそこに止まると、とてつもなく大きく魔力を吸われるですの。大抵は
 勝敗が決してしまうですの。」
 ライが囁く。

「でもマスターには、それを覆す力が秘められてるですの。」

「僕に?」

 ライがうなずく。

「あるカードを引くですの。そしてあそこに戦いを挑めばマスターの勝ちですの!」

「???」

「ライのエスコートはここまでですのー! マスター、がんばるですのー!」

 ライにうなずくと、彼女はカードに帰っていった。

 そしてまた僕は走る。
 タマが応援の手旗を振るのを見ながら通り抜け、約束どおりグーラに
魔力を預け、ビクビクしながら魔力の大きい『ハリケーン』の横を通り過ぎ、
トウモロコシの所で魔力を少し奪われ、またまたシェルフに追い越され、そして。

「フェアリー4姉妹の次女、カイですわ。」

 再びフェアリーライトを使ったとき。

「次にシェルフさんが城に着いたとき、恐らく目標魔力に到達しますわ。」

「どういうこと?」

「マスターが死ぬということですわ。」

「えっ!?」

「嘘ですわ。」

 やっぱりフェアリーって腹黒。

「マスターの負けになりますわ。そうならないことを願って、カードを引くのですわ。」

「うん。」

 カードが『小さな本』から飛び出す。

「キましたわ。」

 それは、あの、最初に拾った赤い竜のカード。

「普通なら、あそこに狙って止まるのは至難の業ですわ。」

 確かに、今まで止まってない。っていうか止まりたくなかったし。

「でも、今のマスターなら行けますわ。さあ、そのカードを!」

 カイが指差したのは、砂漠に人が埋まっている絵が描かれたカード。

「クイックサンドですわ!」

 『ハリケーン』に吸い込まれるような力を感じる。
 シェルフがハッとする。

「さあマスター、走るのですわ!」

 いや、引きずり込まれるんですが。
 そして否応にも『区切り』が『ハリケーン』に設定される。
 凄まじい力の嵐の只中で。

「いや、これヤバイって!」

「大丈夫ですわ! さあ、その竜のカードを! 赤竜王『ボルカニックドラゴン』を!!」

 カイに言われるままに竜のカードに手をかざすと、大きな、とても巨大な
赤い竜が姿を現した。

「うわ、それはねーだろ!!」

 シェルフの声がする。
 『ボルカニックドラゴン』が炎を吐くと、『ハリケーン』は消し炭になった。

「これで、ここの土地はマスターの物ですわ。」

 カイが、ふふんと鼻を鳴らす。

「そうそう、このカードも忘れてはなりませんわ。」

 カイの指し示すカードを使うと、ボルカニックドラゴンが陣取った『風』の
土地が『火』に変わる。

「『インフルエンス』というスペルですわ。対象の土地の属性を、その所有者が
 持つ最も多い属性のものにするのですわ!」

 向こうのほうで「ぎゃあ」というシェルフの声。

「これで『城』に帰ればマスターの勝ちですわ。私たちフェアリー4姉妹が
 全員出るまでもなかったですわ! おーほほほほ!」

 そうして、僕はどうにかこうにか初戦を勝利で飾ることができた。

                                  ―― 続く ――

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待ってました対戦シーン!
伊豆ヒロカズさん、
お話「続き」のご投稿、お待ちしておりました。
ついに対戦シーン……カルドのゲームそのままに
真剣ながらどこか「のどかさ」がただようムード、
とても新鮮ですね。
特に、カードたちとの個性あふれるやりとりが楽しくて、
彼らの活躍をずっと見ていたくなります。

さらなる続きがとっても待ち遠しいですね! よろしくお願いします!
カヲル 2008/04/10(Thu)22:20:14 編集
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カルドセプトはサターン版から
の古参セプター。
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