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大宮ソフトのゲーム『カルドセプト』は2007年10月に発売10周年を迎えました。そのことを祝し、カルドへの「愛と感謝」を表明するためにセプター向け投稿作品発表の場を立ち上げました。
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 【投稿者】 伊豆ヒロカズさん

 【題名】 culd

 【コメント】 はじめまして。拙い文で、しかも導入だけとゆー…
        1時間しかかけられなかったから…すいません。
         何か反響があったら続きを書いてみたいなあ
        なんて。よろしくお願いします。

 【内容紹介】 淡々と過ぎてゆく、高校生の日々。
         しかしその日常は、ある時偶然拾った一枚の
         「石版」により、思いも寄らない変貌を遂げる――


 「culd」

 なんてことはない日々だった。学校に行って授業を聞き、
テキトーに友達と喋って帰宅。部活や生徒会なんてものに
興味は無かったし、バイトに精を出すほど小遣いに困ってる
わけでもなかった。

 毎週水曜日の19時から始まるアニメを何となく見て、
21時からは話題に上ってるドラマ。授業に遅れない程度の
予習と復習を少しやって就寝。体作りに精を出すほどナルシスト
にはなれなかったし。

 ・・・淡々と、過ぎていく日々。その最後には大学受験が
控えているわけで、少し不安を抱えた毎日を過ごしている。

 僕は「井上悟」。私立奏愁学園の1年生。友達はそこそこいる
から孤立してるわけではない、と自分では思っているのだけれど。
向こうが僕の事を何と思ってるかはワカラン。そんな当たり障り
の無い関係。別にソレを悲観しているワケでもないので、僕は
フツーに学校に行く。

 ―――キラン

 道端で、光輝くものが落ちていた。人を惹き付けるような、
不思議な光。近づくと、そこには古びたカードが落ちていた。

 カードと言っても紙でできたトランプのようなものではなく、
石でできた彫刻品のようなカード。表には、円の中に緑・青・
黄・赤の宝玉が安置され、何かギミックめいた凹凸がカードを
形作っている。

 「・・・なんだ、これ?」

 すごく、そのカードに惹き付けられる自分がいる。興味の対象を
見つけた子供みたいに。カードを裏返すと、赤い竜の姿が描かれていた。

 と。そこに、明らかに僕に対して声が掛けられた。

 「ほほう。確か主神ディスガイルはカードの無い世界を
 創造すると言っていたのにな。面白い。こんなところに
 セプターが生まれている。」

 「は?」

 その男は、片目が赤かった。というより、服装は奇抜。
おまけに宙に浮いて上から目線で僕はイラッときた。だから、
こんなつっけんどんな問いしかできなかったのだろう。

 「このカードは何ですか? あんたは何者?」

 その問いに、男はまったく応えなかった。

 「カードを集めろ。力を使え。その先に、求めるものがある。」

 そう言い、男は掻き消えるようにいなくなった。
 残されたのは、手の中に収まる赤い竜のカード・・・

 


 「なあ、これ何だと思う?」

 その問いを3回目、この山里で最後にしようと思った。
竜のカードを手のひらに乗せて見せるのだが、応えはみんな
同じだった。

  もちろん、山里も同じ。何も見えていない。
  このカードは、僕にしか見えていないのだ。それはそれで、
何やら不思議な感覚だが、あまり公にすると精神異常に
見られてしまうかも知れない。
 このカードの事は僕の胸の内に秘めておくことにした。
むしろ無かったことにしたかった。

  しかし事情のほうは、そうは言ってられないらしい。その日の
昼休みに、教室前にカードが1枚落ちていたのだ。しばらく
近くで他人の振りをしていたが、どうにもカードに関心を持つ
者がいないらしい。ころあいを見て、カードを拾った。

 そこには剣が描かれていた。レイピア、というやつだろうか。
謎の男の言葉が、頭の中で反芻される。

 『カードを集めろ。力を使え。その先に、求めるものがある。』

 僕はカードを集めることにした。

 カードは1日に多いときで2枚、見つけることが出来た。
木の上だったり、蔵書の間に挟んであったり、まるで誰かが
意図したかのような隠され方であったし、何も考えてないような
無造作な置き方でもあった。

 カードの種類も何となく分かってきた。まずは人間や怪物を
描いたもの、それから武器や防具、使い方の不明な道具、薬など
を描いたもの、そして何やら状況を象徴的に描いたもの。

 そしてカードは不思議なことに、まとめるとひと山のトランプの
ように固まり、1枚ずつめくって行くことができた。めくったカードは
また戻して、ひとつの山になった。

 だいぶ集まったカードの中で、僕の一番のお気に入りは「赤い竜」。
僕の心を高ぶらせてくれるカードだ。カードを集めていくと、
同じカードに出会うことはあったが、「赤い竜」のカードはまだ
1枚だった。

 そして、その日がやってきた。

 交通量の多い交差点。国道同士が交差しているので、ひっきり
なしに車が行き交う。その中心に、キラリと光るカードを僕は
見つけた。

 今まで、見つけてからはすぐにカードを回収するようにしている。
一度パスして戻ってきたときに無くなっていたら凹むからだ。
 今回も、もちろん即回収。軽トラックのオヤジにクラクションを
鳴らされたり、セダンに乗るおばちゃまに睨まれながらも、その
カードの元へ車を避けながら行く。

 行き交う車の風に押されながらも拾ったカードには、女性が
刻まれていた。そしていつものように、カードの山に加えると
「キィーン」と光り輝き、小さな本になった。

 「ふん。ようやく50枚揃ったか。」

 見上げると、いつぞやの服装奇抜男。もちろん浮いている。
誰にも見えないんだろうか?

 「さあ、力を使え。ここの世界では不自由だろうが・・・
 なあに、隣の世界に行けばセプターはゴロゴロいる。その先に、
 お前が真に求めるものがあるだろう。
   まずは世界を渡らねばならん。テレポートのカードを出せ」

 この男に押されるがまま、言われるがまま、だがしかし
「テレポート」と言われてピンと思いつくカードがある。

 「あれだ・・・人がジャンプしてるやつ・・・!」

 本になったカードをシャッフルして1枚ずつめくっていくと、
目的のカードはあった。

 そして同時にカードは光り、ギュゥーンと力を集め・・・・
僕はこの世界から消えた。それは大いなる旅の始まりだった。

                            ―― 続く ――

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斬新な舞台設定ですね!
伊豆さん、ご投稿ありがとうございます。
このSSは序盤が現代日本風の舞台設定なんですね、
今までにない内容がとても新鮮です。
「奇抜な服装の男」はゼネスなんでしょうか? 井上少年の
“大いなる旅”の行く手には何が待ち受けるのか?

 ……う~ん、期待感でいっぱいです、ぜひぜひ続きをお書きになって
またこちらにお送りくださいね!
カヲル 2007/11/01(Thu)21:30:47 編集
無題
伊豆さんの小説、とても楽しませて貰いました。
カルドセプトというと「舞台は中世っぽい世界観」という
固定観念がありますが、違和感を感じずにそれがすっきりと
消えていくのが心地良く思えます。
あと現実とカルドセプトの世界が繋がっている感じが嬉しいですね。

それとカードとは全く縁のないこの世界の少年から見た別の世界、
セプターの居る世界の描写も非常に気になります。
そういう意味でも続きが気になってしょうがないです。
まさきち 2007/11/01(Thu)22:18:57 編集
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